ネットワーク冗長化とは?種類と方法をわかりやすく解説

「ネットワーク冗長化とは何か、なんとなく分かっているつもりだけれど説明できない」という方は多いのではないでしょうか。回線やスイッチを2本用意すれば冗長化、というイメージを持っている人も少なくありません。しかし実際には、ただ二重化するだけでは防げない障害もあります。この記事では、ネットワーク冗長化とは何かという基礎知識から、代表的な方式、そして見落とされがちな注意点まで整理します。

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ネットワーク冗長化とは?(基礎知識)

ネットワーク 冗長化とは 基礎知識
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ネットワーク冗長化の意味

ネットワーク冗長化とは、ネットワーク機器や回線を複数用意しておき、一部に障害が発生しても通信を継続できるようにする設計手法のことです。英語では「redundancy」と呼ばれ、日本語では「二重化」とほぼ同じ意味で使われることもあります。スイッチ・ルーター・回線・電源など、対象となる範囲はさまざまです。

なぜネットワーク冗長化が必要なのか

ネットワークにはSPOF(単一障害点)と呼ばれる、そこが壊れると全体が止まってしまう箇所が存在します。たとえばスイッチが1台しかなければ、そのスイッチの故障がそのまま業務停止に直結します。ネットワーク冗長化とは、こうしたSPOFをなくし、障害発生時にも通信を維持するための取り組みだといえます。

SPOF(単一障害点)とは

そこが故障するとシステム全体が停止してしまう、ネットワーク構成上の一点を指す言葉です。冗長化の目的は、このSPOFをなくし障害の影響範囲を限定することにあります。

ネットワーク冗長化の具体例(主な方式)

ネットワーク 冗長化とは 方式
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ネットワーク冗長化にはレイヤーごとにいくつかの方式があります。代表的なものを紹介します。

  • スイッチの二重化+STP/RSTP: スイッチを2台用意し、ループを防ぐスパニングツリープロトコル(STP)で経路を制御する方式。古くから使われる定番の構成です
  • リンクアグリゲーション(LACP): 複数の物理回線を論理的に1本にまとめ、帯域の拡張と冗長化を同時に実現する方式
  • L3冗長化(VRRP/HSRP): ルーターを複数台用意し、仮想的なIPアドレスを共有する方式。片方が故障してももう一方が自動的に処理を引き継ぎます
  • 回線の冗長化(デュアルホーミング): インターネット回線を異なる通信事業者から2本引き込み、片方が障害を起こしてももう一方で通信を継続する方式
  • サーバー側のNIC冗長化(チーミング/ボンディング): サーバーのネットワークカードを複数枚使い、1枚が故障しても通信を維持する方式

ネットワーク冗長化のメリットと注意点

メリット

ネットワーク冗長化の最大のメリットは、可用性の向上です。機器や回線の一部が故障しても通信を継続できるため、業務停止による損失を防げます。特に24時間稼働が求められるシステムや、ECサイトのような機会損失が直接売上に影響するサービスでは重要度が高い施策です。IPAが公開している非機能要求グレードによると、可用性要求はシステムの重要度に応じて段階的に定義することが推奨されています。

二重化だけでは防げない落とし穴

「回線を2本にしたから安心」と思っていたら、2本とも同じ電柱を経由していて、結局その電柱の工事で両方止まった、という失敗談を聞いたことがあります。

ネットワーク冗長化とは、機器や回線を増やせば自動的に安全になるという単純な話ではありません。次のような落とし穴に注意が必要です。

  • STPの収束時間による瞬断: STPは経路を切り替える際に数十秒程度の通信断が発生することがあります。瞬断も許容できないシステムでは、より高速に切り替わるRSTPやMSTPの採用を検討する必要があります
  • 物理的な単一障害点が別の場所に残る: 回線を2本にしても、同じ電柱・同じデータセンター・同じ電源系統を経由していれば、そこが新たなSPOFになります
  • デメリット(コストと運用の複雑化): 冗長化した分だけ機器台数や監視対象が増え、初期費用・運用の手間も増加します
  • 切り替えテストをしていないと機能しない: 冗長構成を組んだだけで満足し、実際に片方を落として切り替わるかを確認していないケースは少なくありません

ネットワーク冗長化を設計する際のポイント

ネットワーク 冗長化とは 設計 ポイント
Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

求める可用性レベルに応じて技術を選ぶ

すべてのシステムに最高レベルの冗長化が必要なわけではありません。瞬断が許容できる社内システムであればSTPベースの構成で十分な場合もありますし、金融系のように瞬断も許されないシステムではより高度な構成が求められます。コストと必要な可用性のバランスを見て設計することが大切です。

定期的な切替テストを実施する

冗長化構成は、組んだ直後だけでなく定期的に切り替えテストを行うことで初めて信頼できるものになります。ファームウェアの更新やケーブルの経年劣化によって、いつの間にか片方の経路が機能しなくなっているケースもあるためです。

監視体制とセットで運用する

冗長化された片方の機器や回線が故障していても、もう一方が生きていれば通信自体は継続してしまいます。気づかないまま「実質的に冗長化とは呼べない状態」で運用を続けてしまうことがあるため注意が必要です。監視ツールでそれぞれの経路の状態を常時把握できる体制とセットで運用してください。

よくある質問(FAQ)

ネットワーク冗長化とは具体的に何を二重化することですか?ネットワーク冗長化とは、スイッチ・ルーター・回線・サーバーのNIC・電源など、障害の原因になりうる箇所を複数用意しておくことを指します。すべてを一度に冗長化する必要はなく、影響範囲の大きい箇所から優先的に検討するのが現実的です。
STPとRSTPの違いは何ですか?どちらもループを防ぐためのプロトコルです。STPは経路切り替えに数十秒かかることがある一方、RSTP(Rapid STP)はより短時間で切り替えが完了するよう改良されています。瞬断の影響が大きいシステムではRSTP以降の採用が検討されます。
回線を2本契約すればそれだけで冗長化になりますか?契約するだけでは不十分です。2本の回線が同じ通信事業者・同じ経路を通っている場合、片方の障害がもう一方にも波及することがあります。可能であれば異なる事業者・異なる物理経路の回線を選ぶことをおすすめします。
ネットワーク冗長化にはどのくらいコストがかかりますか?機器を1台から2台に増やす分の費用に加えて、回線の追加契約や運用・監視の手間も発生します。求める可用性レベルによって幅が大きいため、まずは業務停止時の損失額と比較して投資判断をするのが現実的です。
中小企業でもネットワーク冗長化は必要ですか?ネットワーク冗長化とは事業規模の大小で判断するものではありません。ネットワークが止まった際の影響度で判断すべきです。ECサイトの運営やクラウドサービスの提供など、止まると直接売上や顧客対応に影響する業務であれば、規模に関わらず検討する価値があります。
冗長化構成が正しく機能しているかはどう確認しますか?定期的に片方の機器や回線をあえて停止させ、もう一方に正常に切り替わるかを確認する切替テストが有効です。監視ツールで両系統の状態を常時把握しておくことも欠かせません。

まとめ

ネットワーク冗長化とは、機器や回線を複数用意し、一部に障害が起きても通信を継続できるようにする設計手法です。スイッチの二重化やリンクアグリゲーション、L3冗長化、回線の二重化など方式はさまざまですが、単に台数を増やすだけでは不十分な場合もあります。物理的な経路が本当に分かれているか、切り替えが正しく機能するかまで確認したうえで運用することが重要です。あわせて、社内のセキュリティ対策としてフィッシング対策とは何かもご覧ください。

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