仮想通貨の価値はどうなるのか!そしてデジタル通貨の未来の覇者はどこだ!
仮想通貨の3つのキラーワードを解説
2.三菱UFJFG編・・・日本3大メガバンク覇者はどこか~三菱UFJFG編~デジタル通貨の未来は~個別株予想に挑む
3.三井住友FG編・・・日本3大メガバンク覇者はどこか~三井住友FG編~デジタル通貨の未来は~個別株予想に挑む
4.みずほFG編・・・日本3大メガバンク覇者はどこか~みずほFG編~カンパニー制は何かを打破したか~個別株予想に挑む
2009年登場した最初の仮想通貨ビットコインが話題になった頃、価値がないのになぜ値がつくのか、これは投資してはいけないものだと確信していました。しかし今も価格は乱高下しますが価値を維持しているように見えます。昨今は仮想通貨は金と同じような「価値の保存」という意味合いの価値を持つようになり「デジタル・ゴールド」の位置づけになったと論じる識者も出るようになりました。この難解なデジタル上のコインが価値を保つ仕組みがわからないと、デジタル通貨の威力がもたらす未来を予測できないと思ったのです。
本来価値とかけ離れた価格で取引された最古の例にオランダのチューリップ・バブルがあります。この歴史上初めてのバブルであるオランダのチューリップ・バブルの対象である球根と仮想通貨の何が違うのか、球根はやはりタダの球根だったからバブルが消えたという単純明白な構図の理解が正しいのか、そうなら仮想通貨もいずれ熱が冷めると考えていたのにいまだ価値を維持しているのはその理解が間違っていたのかもしれないと考えました。比較考察してみることにします。
砂上の楼閣「仮想通貨」=「デジタル・ゴールド」を論破できるか
まずはチューリップ・バブルを詳しくおさらいしてみます。多くの解説は生物学的考察が表面的なので、こんなに詳しく解説しなくても、と思うかもしれませんがよろしければ読み込んでみて下さい。
生物学的に掘り下げるとデジタルコイン技術と類似するCOPY防止技術があり、
経済学的に掘り下げるとバブルに至る熱狂の相互の類似点が浮き彫りになってきます。
💡生物学的考察と経済学的考察を分けたほうが論点が明確になると考えました。
1634年から1637年にピークを迎えたオランダのチューリップ・バブルとデジタル・ゴールドは何が違うのでしょうか。バブルを定義しておきましょう。対象となるものの内在価値から乖離していることとします。
【考察1】チューリップ・バブル~生物学的側面から見る
初めてヨーロッパにチューリップの球根と種子が持ち込まれたのは1554年オスマン帝国からでした。当時のヨーロッパには無い花弁を持つチューリップは珍しがられ、東インド会社の隆盛で富を蓄え黄金期に入っていたオランダを中心に贅沢品として珍重されていきました。
チューリップはタイプ分けされていきます。
赤・黃・白の単色・・・Couleren
赤か桃色の単色地に白色の縦縞の2色・・・Rosen(ブロークン種)
紫かライラック色の単色地に白色の縦縞の2色・・・Vioretten(ブロークン種)
赤・茶・紫の単色地に黄色か白色の縦縞の2色・・・Bizarden(ブロークン種)
ブロークン種出現のメカニズム
珍しい縦縞2色の花が咲くチューリップのメカニズムは、現在は明らかになっています。ある種のウイルスに侵されてモザイク病という病気になると珍しい縦縞模様の花が咲きます。遺伝子情報に変更が加わったためです。この縦縞はチューリップのみに伝染する5種類のウィルスがもたらすことが1920年代明らかになっています。
ウイルスに感染したチューリップの品種はブロークン種と呼ばれています。これはウイルスに感染し縦縞が出現することをブレイクと呼んだからです。現在でも希少種で「カーニバル・デ・ニース」や「ハッピージェネレーション」などはとても美しいのです。(写真掲載)
この縦縞模様は同じ模様のものはなく様々に分類されていきました。特に美しい模様を持つものは高値で取引され、1625年にはセンパー・オーグスタス(無垢の皇帝)という希少品種には2000ギルダーの値が付き、これは金1Kgに相当しました。バブルに乗りこの値段は最高値1万ギルダーまで上がったのです。この当時に名付けられた多くのブロークン種の新品種は、現在はほとんど絶滅しています。
ブロークン種を作るには非常に手間がかかる
もう一つ重要なことはブロークン種は作るのに偶然性と手間がかかり簡単には作れないことです。チューリップは球根植物ですが種を持ちます。両性花(=同じ株に雄しべと雌しべが咲く)で雌雄異熟(=遺伝的多様性確保のため、同じ株からの受粉を防ぐよう雄しべと雌しべの成熟時期をずらしている)のチューリップは、雄しべが熟すと分離し、花粉を別株の雌しべへ受粉することで実から種が出現します(同株からでも受粉はしますが多様性の少ないものになります)。種から球根にするには7年から12年かかります。そしてウイルスに感染するのは球根で種は感染しません。
その理由は、種子感染にはウイルスを運ぶ役目の線虫などが種子内に入り込む必要があります。チューリップが感染するウイルスはアブラムシが運ぶもので、茎や球根の傷口などから入り込むため種子感染は起こらないのです。
ブロークン種を作るウイルスの遺伝子COPYメカニズム
ウイルスは自らは細胞を持ちません(CRISPR-CAS9クリスパーキャスナインに酷似)。タンパク質で保護された保護膜内に核酸(DNAかRNAのどちらかで、植物ウイルスはほぼ全てがRNA)を持つだけです。ウイルスが他の植物の細胞内に入り込むとタンパク質の保護膜を脱ぎ捨ててむき出しのRNAになります。このRNAは自らを転写させる設計図と他の細胞に移行するタンパク質を作らせる設計図を持っており、感染した植物の細胞内で宿主のRNA転写翻訳機能(DNA→RNA→タンパク質)を担うリボソームを乗っ取り利用して増えていきます。しかし、その細胞が死ぬと自らも死滅するため移行タンパク質を作らせて別細胞へ伝染します。そうしなければ生き残れません。ウイルスが伝染するのはその特性のためです。ウイルスは自らが細胞を持たないため他の生物の細胞内でしか生きられないのです。
【二重らせん構造の①DNAを④ポリメラーゼという酵素がほどき一本鎖のRNAが②転写、③リボソームへ翻訳させるため渡すイメージ図】
ブロークン種が遺伝子レベルで希少情報をCOPYできる理由
球根は花を咲かせると1個または数個までの子球を残します。ウイルス感染した縦縞模様の特徴は、子球に垂直的に連続して遺伝します。これは「過敏感細胞死」という植物の防御策で、ウイルスに感染した植物内の細胞は自ら死ぬことでその細胞内にウイルスを封じ込め別の細胞への感染を防ぎます。「過敏感細胞死」で細胞間の感染を防ぐと同時に耐性は植物細胞全般に誘導されます。耐性遺伝子の発現が誘導されるのです。一度美しく珍しい模様をつけたチューリップは、実は遺伝子レベルでウイルスの耐性を獲得しているのです。これが子球に特性が引き継がれる理由です。ウイルスに感染した株が残した子球は、親花と同様の模様を持ちます。ウイルス感染した親花は、細胞の一部が細胞死しているが故に球根は弱く、成長させて子球を取るのは難しく増殖は簡単ではありませんでした。職業栽培家がうまく育てても1年に1個から数個しか子球が取れないわけですから。それ故に、ウイルス感染した縦縞の球根は希少性が高く価格が高騰していったのです。
ウイルスの中には殺生タイプのウイルスもいて、このタイプは宿主の細胞の栄養を殺しながら奪っていきます。殺生タイプのなかには「過敏感細胞死」をわざと誘発しながら感染を広げていくウイルスもあり、この種のウイルスに感染すると宿主はやがて枯れてしまいます。ウイルスと植物の戦いは細胞レベルで攻防を繰り返しているのです。
進歩し続ける遺伝子操作技術
現在では遺伝子操作技術が進み、自然状態では出現しなかった色が様々な植物で実現しています。今まで実現できなかった青いカーネーションや不可能と言われた青いバラも誕生しています。青いチューリップはまだ自然界で存在していません。遺伝子解明が困難と言われているチューリップですが、着色錯乱に関係すると見られているアントシアニン系遺伝子群のRNA遺伝子レベルの解明が進められており、いつか開発されるでしょう。
【考察2】チューリップ・バブル~経済学的側面から見る
ブレイクを起こすウイルスはアブラムシが運ぶことか多いのですが、当時は縦縞模様が出現するメカニズムが分かっておらず、誰でも球根の売買をすると縦縞模様のチューリップが出現する可能性があり誘惑感がありました。一攫千金の夢が一般の人々にも広がり多くの一般人が売買するようになりました。こうしてチューリップ市場が形成されていきます。
金融技術の最先端である先物取引やオプション取引にレバレッジまで産まれた
チューリップは4月から5月にかけ1週間ほど花を咲かせ子球を残します。ウイルス感染した球根は痛みやすいため、収穫した球根の現物取引は6月~9月の休眠期にスポット市場で行われていました。それ以外の期間は、花壇にあるチューリップが翌年の春につける球根を売買する約束をして取引をしていました。これは商品である球根の詳細説明証明書に農場や品種を記載して取引されたのです。先物取引の原型が生まれます。それは約束手形という形で支払われていたのです。そしてこの時、来春に球根が手に入るまでの間、買う権利を売買する、現在のコールオプションと同じ概念のオプション取引が生まれています。
通常の先物取引は現物価格の10%でした。残りは現物を手に入れたときに払えばいいのです。これは手持ち金で10倍の取引ができることを意味します。10倍のレバレッジを効かせた取引が現物が手に入りだす2月から3月頃までにかけて出来てしまうのです。
取引市場が出来て活性化から相場乱高下へ
取引市場は主に居酒屋でした。一般大衆の人々はそこで先物やオプション売買を繰り返しました。現代の仮想通貨取引がワンクリックで簡単にできるように。居酒屋は次第に取引の場所を提供するかわりに場代、いわゆる市場参加費用を取るようになりました。
業者間の取引は次第に加熱し、ウイルス感染した球根は値が上がっていきます。職業栽培家もウイルス感染した球根を高値で買い取り栽培していきました。ブロークン種のチューリップ取引の加熱はチューリップ市場全体にも及ぶようになり、単色の一般的チューリップの価格も釣り上げることになりました。縦縞が出現する可能性がわずかながらあるからです。相場全体が膨らみ、特に先物取引相場は加熱し、取引高も膨らんでいきましたが現物が動くのは来春なのです。まだ見たこともない先物の球根は何十回ものオプション取引が繰り返され、相場の乱高下で一夜で儲けたり財産を失ったりするものが出るようになりました。
バブルを抑え込んだものはルールの改正と社会的背景
チューリップ・バブルは1636年の冬にピークを迎え、遂に1637年2月先物の現物が引き渡しが出来なくなったことを契機に価格が急落します。ペストが流行していた当時、買い手が取引所に現れなかったことが契機となったとも言われていますが、先物やオプションに約束手形が乱発され、払える目処が無いまま取引高のみ膨らんでいったというのが実態でした。際限なく値を上げていった球根も、現物を引き取る買い手が不在になれば売れなくなります。加えて、社会的不安定要素がある中、バブルが崩壊し始めます。
最近の研究でチューリップ・バブルのあまりにも急速な下落の説明としてもっと合理的なものが正確な論文として認められてきています。オランダ議会は1636年秋ころから議論を始めていた議会令をバブル発生直後の1637年2月下旬に確定します。これは先物契約をした者は支払い義務を負うが1636年11月30日以前の取引については、現物価格の3.5%を支払うことにより解約できるというものでした。これは全ての先物取引がオプション取引になることを意味し、現物価格が約定価格を下回れば解約金を払い契約を解消できるようになったのです。こうしてチューリップ・バブルは沈静化していきました。(法的規制がかかれば劇的に変わる実例です)
バブル崩壊後、趣味でもっていた富裕層たちの珍しい球根は高値に戻していますが通常の球根の値は戻ることはありませんでした。少なくとも球根は実在していたのです。要するに富裕層は投機に参加しておらず、一般大衆が踊らされてほとんどの人が大損をしたということです。多くの人と言いましたが参加したのは国民からするとごく一部の人であり、国家を揺るがすようなことはありませんでした。
【考察3】導き出される結論~生物学的側面と経済学的側面を踏まえて
現代の仮想通貨市場の社会背景と酷似しているじゃないか
当時のオランダは東インド会社が隆盛を極め富が集中していました。お金がじゃぶじゃぶにある状態だったわけです。そして先物取引やオプション取引の原型が産み出される斬新な金融技術も出現しています。取引所は町の居酒屋で会員になる必要もなく、誰でも参加できました。
ブロークン種のチューリップの球根は実はとても複雑なウイルス感染と植物の防衛策の、細胞やゲノムとRNAレベルのものでした。当時の技術でブロークン種を人為的に作るのが不可能であったことに異論はないはずです(生物学的な偽造防止技術)。科学的に保証された遺伝子レベルで、垂直的に子球に特徴が引き継がれるブロークン種は手に入れる価値があったのです。ただ、当時の一般大衆には全く出現の仕組みもわからないブロークン種の球根を、新しい金融技術の中で売り買いしていたわけです。
現在チューリップ市場はもちろん大きなものではありません。遺伝子組み換え技術でゲノムレベルの事が徐々に明らかになってきていますが、GM穀物(遺伝子操作をした穀物)や人類の遺伝子解明レベルほど進んでいません。これは市場の大きさから言えば当然です。もしも、チューリップ市場が莫大な規模であれば、多くの資金が投下され、青いチューリップもブロークン種のモザイク模様も自由に作れていたでしょう。作れていれば価格は落ち着き、また新しいGM品種(遺伝子操作した品種)が出現する活発な市場になっているはずです。💡経済規模とはそういうものです。縮小してしまえば技術進歩は遅延し、小さなサークルの中の市場で生き残るだけです。
【考察4】仮想通貨~技術的側面から見る⇔チューリップ・バブルとの対比
仮想通貨とは何かをWebの発展の背景技術とテクニカルな核心技術の両面から見ていきましょう。仮想通貨を支える技術は、決して意味不明なものではありません。そして今後のCBDC(Central Bank Digital Currencya中央銀行デジタル通貨)の威力を計る上でも知見を得る必要があります。
仮想通貨は暗号資産とも言われるようにコインではありません。Web3.0と言われる多方向のネットワークの中で管理下に置かれたデータです。そのデータはブロックチェーンという技術で収納されたデータのブロックが互いに繋がっています。その受け渡しはハッシュ関数と楕円曲線暗号により改ざんされること無く正確に行われます。これらの技術の知見を得て、仮想通貨の正体に迫りましょう。
Web3.0とは何か~背景技術
【Web1.0】
1990年代インターネットで情報収集ができるようになりました。しかしこれは単方向で、送り手と受け手が一方向のものでした。言わばRead Onlyだったのです。
産み出されたものには、ホームページ、eコマースがありました。
【Web2.0】
2000年代SNSの登場によりインターネットは双方向集中型になりました。Line、Instagram、You Tubeなど様々なSNSが産み出され進化していきました。これはRead&Writeの関係だったのです。集中型サービスの○○Payが多種類出現し、双方向のチャットも様々な分野で利用されました。
【Web3.0】
2009年ビットコインが誕生しました。革新的技術ブロックチェーンにより安全性が確保されており、ブロックチェーンの安全性は分散型ネットワークで支えられています。この分散型ネットワークの概念がp to p(peer to peer=対等な者同士のつながり)ネットワークと呼ばれるWeb3.0です。単方向でも双方向でもない多方向です。ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)やNFT(ブロックチェーン上で管理できる非代替性トークン=唯一無二のデジタル証明書)などが展開されました。
ブロックチェーンの構造~仮想通貨の核心技術1
ブロックチェーンの簡単なイメージ図です。これが延々と連なります。各ブロックには取引情報が格納されていて、ブロックnにはハッシュ関数から生成されたこのブロックのハッシュ値とナンス値(Number Used Once=一度だけ使える数値)と前ブロックn-1のハッシュ値から構成されています。
ハッシュ関数のイメージ図をご覧ください。数値を入力すると戻り値が返ってきます。ハッシュ関数は複雑な計算をするので戻り値から入力値は逆算不可能です。しかし、同じ入力値を入れれば必ず同じ戻り値を返します。ビットコインではNIST(米国家標準局)が作ったハッシュ関数SHA-256を使用しています。これは第3世代に当たります。
10分ごとに生成される新しいブロックn+1と前ブロックnを接着する作業を行う人がマイナー(発掘人)です。
新しいブロックn+1において、確定済の前ブロックnのハッシュ値と今回取引情報データ値に加え未確定のナンス値に無作為に数値データを次々と代入し今回取引のハッシュ値を求めます。ハッシュ値には難易度があり頭の0の桁数が多いほど難しく、ハッシュ関数からでてくる戻り値は無作為なので、ひたすら代入し続けるしかありません。マイナー(発掘人)がこの作業を行うことをマイニング(発掘)と呼びます。膨大な電力が必要なのはこのためです。下図は先頭の0が9桁必要という条件のハッシュ値を求めるための作業イメージ図です。
こうして連なり続けるブロックはハッシュ値を見つける競争に参加したマイナーたちにより第一発見者が承認されます。承認されると報酬としてビットコインが支払われます。マイナーたちはこのブロックを共有しているのです。共有すなはちネット上に公開されている取引情報は、中央集権ではなく多方向のつながりを持つため書き換えが極めて困難になっているわけです。
仮想通貨の所有権の移動~仮想通貨の核心技術2
Web3.0という基礎の上で多くのマイナーが共有し、ブロックチェーンという書き換え困難な技術に守られた仮想通貨は、どのように売買されているのでしょうか。そこには公開鍵と秘密鍵を使う楕円曲線を利用した公開鍵暗号方式と暗号の核心ハッシュ関数があります。
楕円曲線の数学的説明
仮想通貨の権利の移転には楕円曲線を利用した関数が使われます(楕円ではありません)。楕円曲線暗号の仕組みは下図をご覧ください。x軸を横軸とした水平対象の楕円曲線上ではA+Bの値は延長線上で交わるCから反転させたEが解です。これは楕円曲線上の足し算の概念ですので一般的な2+2=4のようなものとは違うので数学理論として受け入れてください。
A+B=E・・・楕円曲線の足し算の概念です。一直線上にあるためA+B+C=0です。A+B=-C=Eです。
今度はCから楕円曲線に接線を引きと交わる点をDとします。ここからは計算が成り立つことがわかっているので受け入れてください。数式を示しても理解が難しいです。まず前段のA+B=EでA=Bの場合2A=Eとなり2倍算が成り立つことが計算上わかっています。すなはち接線を引き交わった点Dの2倍算はEになるのです。整理します。
A+B=E
A=Bの場合2倍算が計算上成り立つことがわかっており
A+A=2A=E これを接点Dに適用すると、Dを2倍算したものがEとなり
D+D=2D=E が成り立つ
これでD(点D)と2D(点E)が判明しました。では3Dはどこになるのでしょうか。下図の点Dと点Eの延長線上の点Fと、反転した点Gを御覧ください。楕円曲線の概念より
D+E=Gでしたよね。上式よりE=2Dですから代入して
D+2D=3D=Gになります。すなはち点Gが3Dです。このような作業をn回繰り返すと、nDの点を次々に求めることが出来ます。因みにG+D=I=4Dですよね。
このような作業をn回繰り返していると、点がD→E→G→Iのように不規則に動いていることがわかると同時に、必ずグラフ上に置かれる点はx軸と水平対象になります。この点を有限個に絞らなければ暗号になりません。有限個に絞ります。
ビットコインではsecp256k1と呼ばれる楕円曲線を使っていて、各パラメーターが決まっています(a,bの値が決まっていること、すなはちグラフの形が決まること)。数式は\(y^2=x^3+ax+b \ mod \ p\)となっていて、通常の楕円曲線関数\(y^2=x^3+ax+b\)と少し違っています。mod pとは\(x^3+ax+b\)の値をpで割った余りになります。pは素数です。こうすることにより値が有限個に限定されます。この有限個の値は不規則に出現しますが完全に水平対象です。
例えば数値L mod 1000とすると余りは必ず999以下になるので数値を有限個に減らせるわけです。mod p=素数263とすると262までの数値となり、計算上の整数点は262✕262の範囲内に収まります。この座標上の点が非常に不規則な順番で置かれるので暗号として成り立っています。
計算結果の座標をLとすると、L(計算結果の座標)=n(演算回数)✕D(起点座標)でnDからLはすぐ出ますが、LとDからnは逆算困難ということです。これを離散対数問題と言います。楕円曲線では非常に複雑な式になるので簡単な例で説明させてください。
L(計算結果4)=D(元の数値2)^n(何乗するか5) mod 7 の場合・・・2の5乗を7で割った余りは4とすぐ計算できますが、2を何乗したら7で割って4になるかは簡単に計算できないということです。式にします。
\(4=2^5 \ mod \ 7\)
\(=32 \ mod \ 7\)(7で割った余り)
\(=4\) です。これはすぐ出ますが、下式のnは計算困難ということです。
\(4=2^n \ mod \ 7\)この式からnを計算するのは困難です(実際はとても大きな数字です)。これと同じことが楕円曲線でも言えるということです。
なお、x線上の値u,v,wは暗号鍵として使います。
もう一つ楕円曲線の重要な点を加えておきますと、前段のような2倍算や足し算をn回繰り返していると延長線上で交わらない時が来る事がわかっています。すなわちy軸に平行に接線が伸びるときです。このときの延長線上の座標は無限遠点(∞,∞)なので接点をYとするとY+Y=0と表します。これに任意の数値uを足せばuになるので、起点座標Eを足せば、すなはち振り出しに戻ります。これも楕円曲線上の数学理論として受け入れてください。
では具体的に見ていきましょう。
【例】わずか8回で無限遠点折返しの例をお示ししていますが、実際は大きな数で計算されていて、実質逆算できない仕組みです。計算式もかなり簡素化していますので実際とはかなり違います。あくまで「相手公開鍵から秘密鍵を生成して暗号化、復号は秘密キーを使って確認」のイメージとして捉えてください。
F11(11で割った余りの世界で考えること)a=1,b=2
\(y^2=x^3+x+2 \ mod \ 11\)で考えます。楕円曲線上の2倍算と足し算の公式で2倍、3倍、4倍・・・と求めていきます。極めて数学的になるので式省略させていただきます。
n回目 ナンス値 パラメーター起点E=共通公開鍵なので全員共有できる。
①回目 2 座標E(2,1)・・・起点共通公開鍵
②回目 8 座標G(8,4)
③回目 4 座標J(4,9)・・・Souchan
④回目 10座標I(10,0)
⑤回目 4 座標L(4,2)・・・Robustafさん
⑥回目 8 座標M(8,7)
⑦回目 2 座標N(2,10)
⑧回目 ∞ 座標O(∞,∞) ∞=交わらない→無限遠点
⑨回目 2 座標E(2,1)・・・起点共通公開鍵に戻ります!
⑩回目 8 座標G(8,4)
↓
⑮回目 2 座標N(2,10)
送信者Souchanは回数nを秘密鍵に、x軸上の座標を公開鍵とします。各座標の値はx軸上のナンス値を取ります。
⇩
Souchanは③を秘密鍵とし座標J(4,9)を公開鍵にします。
⇩
送信者Souchanは受信者Robustafさんに公開鍵として座標J(4,9)をおくります。
⇩
Robustafさん、コイン(平文暗号)を送ってもらいたいから、僕の公開鍵を前もって送るね。
Souchan了解。届いた公開鍵から生成した鍵とコイン(平文暗号)送るから、復号して確認してね。
Robustafさんは⑤を秘密鍵で座標L(4,2)を公開鍵にします。自分の公開鍵の座標L(4,2)と、送りたい平文に自分の秘密鍵⑤✕Souchanの公開鍵の座標J(4,9)を乗算したものを足し算した2つを鍵としておくります。(※わかりにくいと思いますので下式Sの算出を御覧ください)
計算します。
⇩
平文は数値に変換します。実際はハッシュ関数などで数値が複雑化されていますが、ここでは例えば単純に2文字ずらす取り決めなら2とし、座標(2,0)とします。
暗号化と復号の手順を具体的に見ていきましょう。
【暗号化】Robustafさんの作業
R=Robustafさんの公開鍵座標L(4,2)=5E・・・表より起点Eから5回演算
※S=平文暗号+Robustafさん 秘密鍵 ✕Souchan公開鍵
=(2,0)+5✕(4,9)
=(2,0)+5✕3E・・・Souchan公開鍵は表より起点Eから3回演算
=(2,0)+15E
=(2,0)+(2,10)・・・表より起点Eから15回演算で⑮座標Nの数値
=(4,10)
R(4,2)とS(4,10)をSouchanに送ります
【復号】Souchanの作業
S-Souchan秘密鍵✕R
=(4,10)-3✕(4,2)
=(4,10)-3✕5E
=(4,10)-15E
=(4,10)-(2,10)・・・表より起点Eから15回演算⑮座標Nの数値
=(2,0)・・・平文暗号を受け取る→一致!
RobustafさんからRobustafさんの公開鍵Rと暗号Sを受け取ったSouchanは、秘密鍵をやり取りすること無く、復号して真正な平文暗号を確認します。ビットコインは実際は署名確認のみに使用されているので少し違っています。
💡このような技術に裏付けされたデータのつながりが仮想通貨の正体です。
【考察5】仮想通貨~経済的側面から見る
チューリップの球根の根源的価値は限定的です。チューリップ・バブルの時は根源的価値から大きく乖離しましたが、その値段で買う人がいるからその値段だったのです。仮想通貨はどうでしょうか。仮想通貨の価値も同じく買う人が決めた価格です。これは驚くほど株式相場の価格決定プロセスと似通っています。株式の価格は需給で決まり本来価値より高くなったり低くなったりしますが、やがて本来価値に収れんするのです。
チューリップ・バブルでは多くの一般人が一攫千金の夢を持ち、なぜ出現するかメカニズムのよくわからないブロークン種の球根の売買に参加してしまいバブルが生まれました。ブロークン種の球根は、その特徴から様々なネーミングで分類されました。希少性が高く少量しか生産できません。現在様々な種類の仮想通貨が生まれ、ビットコインは2100万枚という発行上限があり、別の仮想通貨イーサリアムはその台帳内に命令を書き込めたりと多様性を見せています。現れては消えていく派生種の仮想通貨も多くあります。
最近は、仮想通貨はデシタルゴールドという普遍的な価値を持つと誘惑をちらつかせてきます。ブロックチェーンという偽造困難な技術に守られて価値の蓄積手段としての地位を得ようとしています。デジタルゴールドの立場を強化するような動きも最近は見せています。ETF(上場投資信託)です。SEC(米証券取引委員会)が2021年初めてビットコイン先物ETFを承認しました。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)がビットコイン先物を取り扱っていたため、信頼性があると判断されました。2023年6月になり世界最大の資産運用会社ブラックロックがビットコイン現物ETF取り扱いをSECに申請しました。現物についてはSECは却下してきましたが、今回は承認されるのではないかとの見通しです。
現物と先物は何が違うのでしょうか。SECは現物取引の仮想通貨取引所を信用していません。FTX(仮想通貨取引所で倒産し現在は廃業)のように取引所が破綻した例があるからです。そして仮想通貨自体にハッキングや紛失の事態が想定されます。このためSECは承認してこなかったのです。一方、先物取引は他の商品でも広く運用されている差金決済です。投資家保護の仕組みが機能しています。💡今回承認されるのではないかと見られている理由は2つ、ブラックロックが世界最大の資産運用会社でSECも信頼しており過去の申請はほぼ承認されていること、ブラックロックが米取引所大手コインベースを価格データ取引先として利用しておりコインベースが信頼できると判断されるだろうということです。
仮想通貨のキラーワード1~量子コンピューター
量子コンピューターについては仕組みを詳しく知る必要性はあまりないと思います。0と1を演算子として計算する従来型のコンピューターが超高速化したものがスーパーコンピューターですが、全く違う演算方式の量子コンピューターではスーパーコンピューターが数兆年かかるような計算を一瞬で行うことが可能です。これは現在のデジタル社会を支えている暗号技術には脅威です。
現在主流の暗号方式RSAは非常に大きな数の素数を使い、素因数分解の困難さを利用していますから量子コンピューターは間違いなく破ると言われています。楕円曲線暗号は量子コンピューターにとって、それより簡単と言われていますので、技術の進歩は必ず安全性を脅かすはずです。どこまでそのための資源を投入するかはその時の仮想通貨の経済規模によるということは先に述べた通りです。
因みに、技術の進歩の凄さと現在位置をご紹介すると、現在の量子コンピューターはIBMの最先端のものでも数十量子ビットです。楕円曲線暗号を解くには2千量子ビット以上が必要と言われており実現はまだ先のようです。でもこれは進化すれば解決可能な問題です。ハッシュ関数はどうでしょうか。
ハッシュ関数は素因数分解のような計算の困難性によらない、何十段階もの様々な数学的計算をさせる、言わば構造を持たない関数なので量子コンピューターでも破ることは出来ないとされてきました。ところが最近、構造を持たない関数に対する量子アルゴリズムが発見されています。可能にする技術が開発されたのです。技術の進化は将来の経済規模が見込まれる以上どこまでも続くはずです。この「キラーワード1」の最後に最大のメリットが最大のデメリットに変わる可能性に触れておきたいと思います。
量子コンピューターと暗号は日進月歩で、暗号が危機にさらされたり破られたりすれば、更に難しい暗号がでてくるでしょう。💡忘れてはならないのは、ブロックチェーンは多方向同時共有の特性上書き換え困難であることが最大のメリットでした。その特性故に仮想通貨はブロックチェーン上で公開されています(データとして)。楕円曲線暗号は仮想通貨受け渡しの真偽判定に使われる署名の暗号です。量子コンピューターが一旦楕円曲線暗号を破れば、受け渡し不能になるでしょう。特にビットコインは限界枚数2100万枚近くまでマイニングされており、公に晒されて書き換えできず、受け渡し不能な状態のビットコインは全て身動きが取れない状態となる可能性があるのです。もしこうなれば連なるデータの価値とはいったい何なのか考えさせられます。
仮想通貨のキラーワード2~CDBC(中央銀行デジタル通貨)
ステーブルコインDCJPY(デジタル通貨)とCBDC(セントラルバンクデジタルカレンシー中央銀行デジタル通貨)についても触れておかないといけません。まずDCJPYです。
ステーブルコインDCJPYの可能性
日本円を裏付け資産とするステーブルコインがDCJPY(デジタル通貨)です。現在民間企業74社でフォーラムを形成しており、日本の名だたる企業とメガバンクが参加しています。すでに利用されているはずです。なんとなく便利そうだとは思うのですが、仮想通貨と何が違うのでしょうか。
一番の違いは、日本円と価値が連動しているので1DCJPYは1円だということです。価値が連動している以上同額の円資産が裏付けとして存在しなければなりません。もう一つは、通貨としての基本領域以外に、プログラムを書き込める領域が設けられているのです。ここにブロックチェーンの技術が使われていて基本領域に紐づいています。経理処理で月末払うものをプログラムとして書き込めたり、条件が揃わなければ支払わないとかを書き込めるのです。ただしステーブルコインはデータです。電子財布のパスワードを失うと無くなりますし、盗まれると戻ってきません。
すでにドルのステーブルコインはありますので、その解説をするとメリットとデメリットが見えてくると思います。テザー(USDT)とUSDコイン(USDC)の比較が最もわかりやすいと思います。
テザー(USDT)はドルと連動していますがアメリカの企業ではなく香港の企業テザー社が発行体です。670億ドルほど流通していますが、当初全額ドル資産で担保されているとしていましたが、事実ではなく8%ほどしか現金がなく、米国債が44%ということが判明しています。本来ドルとペッグしているわけですから同等の額のドルを保有していなければなりません。しかし、この会社は香港企業ですから監査を受けたこともなければ開示にも余り積極的ではありません。
一方USDコイン(USDC)はアメリカの企業です。仮想通貨大手取引所コインベースと、ブロックチェーンなどのデジタル技術に特化しているサークル社の共同設立でされたセンターにより2018年から運営されています。サークル社は金融事業社としてアメリカで登録されており、大手会計事務所の監査も受けており高い信頼性を持っています。米ドルと1対1で担保されており、流通している500億ドルのうち、80%が短期米国債20%が現金で保有しています。元々が仮想通貨イーサリアムのトークンとして発行されたのが出自であるため、ほとんどがイーサリアムのブロックチェーン上で使用されています。出資者もゴールドマン・サックスなどの一流企業が入っており信頼性は高いのです。
デジタル通貨は性格上、ビットコインなどの管理者がいない分散型取引とは違い中央集権的です。運営元が発行しているステーブルコインは信用が非常に重要です。日本のDCJPYはその意味では信頼性は高いと思われます。ステーブルコインは現状政府の規制などもなく便利なデジタル通貨として流通していますが、いずれ必ず国が介入します。経済をコントロールする必要が国家にはあります。立法と武力を持つ政府に従わざるを得ないのは自明です。💡CDBC(中央銀行デジタル通貨)普及までの過渡的なものに終わるか別の居場所を見つけるかになるでしょう。
CBDC(Central Bank Digital Currency)
以上の論点を踏まえると、💡CDBC(中央銀行デジタル通貨)と仮想通貨が似て非なるものだと見えてきます。仮想通貨のようにPtoPに完全に依存できません。なぜなら中央集権的に発行されなければならず、不換紙幣と同じように譲渡、保管、交換が出来て制御可能でなければならないからです。
セキュリティにもシリアル番号のあるCDBC(中央銀行デジタル通貨)がコピーできない技術、取引履歴の検証保証技術と否認禁止、計算で所有が割り出せない匿名性確保技術などがあり、PtoPとは一線を画す技術が必要です。では、ブロックチェーン技術をどう活かしどのような構造になるのでしょうか。
現在、ブロックチェーン技術を取り入れた3層構造の発行が考えられています。
まず、中央銀行や政府などの規制層です。CDBCを制御・管理する技術的政策的能力が求められます。これはPtoPではなくツリー構造でなくてはなりません。
次が規制層とユーザー層の橋渡しをするネットワーク層です。中央銀行とのツリー構造を維持しながらブロッチェーン技術を使い一般ユーザーとの分散構造を構築しなければなりません。
最後がユーザー層です。ユーザー層はネットワーク層が検証可能な中で取引を行いますが、その内容は匿名性と秘匿性が保証されなければなりません。
💡CBDCの要求する技術的機能から、一部で出てきているデシタル通貨が発行されると銀行が不要になるというのは当たっている面もありますが、的はずれであることが分かります。高いフィンテック技術を持つ金融機関はネットワーク層として必要な存在ですが、メガ銀行以外は不要になるでしょう。中小金融機関は合従連衡するだけではなく、技術基盤でも高水準の要求を満たさなければ不要とされるはずです。
💡ここで未来は意外な方向へ動いてしまいました。量子コンピューターとCBDCにより仮想通貨は大きく立場を弱めるでしょう。未来のデジタル通貨の覇者は仮想通貨業者ではなくメガバンクが主要なプレイヤーになるのではないかと予測しています。技術的観点からは暗号技術に関わる企業群がメインプレイヤーになるでしょう。NTTや富士通のような。💡その頃は2030年頃を予測します。根拠はNTTのIOWN構想の実現目標が2030年となっていることです。ここに向かって様々な企業が研究開発を進めています。NTTと富士通に関しては記事掲載済みですので、3メガバンクの個別株予想を後段でしていきたいと思います。
仮想通貨のキラーワード3~金融引き締め
キラーワードの1と2は近い将来の話ですが、仮想通貨にとって現在進行系の脅威もあります。世界で進行している金融引き締めです。資金が徐々に引き揚げられつつある今、質の悪い資産から順に資金は引いていくはずです。あらゆるジャンルでこれは起こるはずです。
株式相場でも、資金がじゃぶじゃぶに供給されているときは全ての業種・銘柄で上がっていたものが、投資家の目は本来価値があり、下がらないものに向いていきます。会社の選別が始まります。PBR1倍割れの銀行株などは好例でしょう。では仮想通貨はどうなのでしょうか。
間違いなく実態がネット上にあるデータに過ぎない仮想通貨は徐々に価値を切り下げていくはずです。上がったり下がったりしながら。
【考察6】導き出される結論~技術的側面と経済的側面を踏まえて
💡仮想通貨はビットコインとイーサリアムを中心に価値を維持しています。その売買単位は細切れに小さな単位に分割されています。1BTC数百万円が最小単位だと0.0001BTCで1000円とかで売買できます。いったい何を所有しているのでしょうか。チューリップの球根が、先物オプションを約束手形で払い、来年の現物の球根の一体何を所有しているかもよくわからないまま売買している曖昧さと同じように、仮想通貨市場は成立しているのです。
昨今は、価値の保存という意味でデジタルゴールドとしての価値を仮想通貨に見出しているようです。価値の保存なら錦鯉だって盆栽だってあります。絵画もしかり、デジタルアートもそうでしょう。しかし市場は限定的です。愛好家というサークルの中での価値のやり取りにとどまっていますが、根源価値から乖離しているかといえばそうは言えません。仮想通貨の根源価値(何のためにあるものなのか)は未だ闇の中です。通貨でもなく商品でもなく有価証券でもない極めて曖昧なままです。
💡①CDBC(中央銀行デジタル通貨)の市場投入と仮想通貨やデジタル通貨への国家の規制や、②量子コンピューターにより脅威にさらされる暗号の脆弱性、③金融引き締めという喫緊の圧力がもたらす価値の厳選という3つのキラーワードで仮想通貨市場は縮んでいくと見ています。この3つの脅威は、仮想通貨の根源価値(何のためにあるものなのか)の曖昧さをあぶり出し、ブロックチェーンの技術を脅かします。無価値に追い込むかもしれません。しかしこれは、その時の仮想通貨の経済規模がどうかにもかかっています。経済規模がまだ充分にあれば国家規制は更に強化され、量子コンピューターへの投資も続くでしょう。縮小してしまえば技術進歩は遅延し、小さなサークルの中の市場で生き残るだけです。
量子コンピューターによる脅威については、CBDCについても言えることです。しかし、仮想通貨にとってはブロックチェーンは核心技術ですが、CBDCにとっては付随する技術です。CBDCにとっての核心技術は、通貨として譲渡、保管、交換が安全にできる技術です。オフライン決済をどうするか、デジタル通貨の電子的トークンの偽造・複製防止、消滅した場合の保護の可能性の有無、マネーロンダリング防止と個人情報保護の対立など広範囲の検討が最重要なのです。
デジタル人民元がすでに流通しているように、どこかの国がストップできるものではありません。大きな流れです。2つのキラーワードはお互いに競うように加速度的に進化するでしょう。技術の進歩はいつも予想より早いのです。前述の通り2030年が一つの節目だと考えます。その頃、仮想通貨市場は大きく縮んでいるか引導を渡されていると見ています。💡そして仮想通貨の致命的欠点は、役目を終え取引市場が縮んだ後に残るのは、何も産まないデータの残骸だということです。チューリップ・バブルが弾けた後で一般大衆が球根の所有権証明の紙切れを抱えたように。
仮想通貨は鉄鋼業の記事の経営指標解説の中で触れた「壮大で巧妙な詐欺システム」と同列の可能性があると思っている。結局チューリップ・バブルでは投機に参加しなかった富裕層の持つブロークン種の球根は値を戻しているんだよね。資産運用会社や証券会社のシステムと、ファンドマネージャーの情報源は一般大衆を遥かに凌駕している。彼らが逃げた後、逃げ遅れたら多分同じことになる。状況は着々と仮想通貨は投資対象の地位を固めているように見える。だけど買うなら程々にだね。
2023年6月26日本稿記事公開から約1年、米国ではビットコインのETFが承認され、ビットコインが高騰すると言われる半減期も到来した。仮想通貨の伝道師であるYouTuberたちは、今までの半減期を例に取り、5月に高騰するとか来年に高騰する、あるいは他の仮想通貨が良いなどと啓蒙に余念がない。
決して乗ってはいけない。非常に流通の少ないビットコインが高騰と急落を繰り返すのは当たり前だよ。オランダのチューリップ・バブルは全人口の3%が参加して巨大バブルになった。逆を言えば、だからバブルが弾けても国は揺らがなかったんだ。
YouTuberの伝道師たちは参加者を増やすのに必死だと思う。でなければ自分たちが売り抜けないから。ここに10人が参加する商品売買市場を想定してみよう。1人が売りたくない、9人が買いたいなら価格は急騰する。充分上がったので9人が売りたいと思っても買い手不在で売れなければ急落は目に見えているよね。参加者が数十人、数百人と増えていけばその懸念は解消されるわけだ。
デジタル通貨の覇者か~メガバンク3強を分析する
これから2030年にかけて3メガバンクはいい風が吹くと予想しています。CBDC中央銀行デジタル通貨は進まざるを得ないでしょう。その時のメインプレイヤーはメガバンクたちだと予想しました。見ていきましょう。
(数字は実績値です) | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 三井住友フィナンシャルグループ | みずほフィナンシャルグループ |
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時価総額 | 13兆5314億円 | 8兆2242億円 | 5兆5813億円 |
PER(株価収益率) | 9.35倍 | 10.1倍 | 9.1倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 0.74倍 | 0.65倍 | 0.61倍 |
ROE(株主資本利益率) | 6.52% | 6.50% | 6.10% |
ROA(総資産利益率) | 0.29% | 0.31% | 0.23% |
ROIC(投資資本利益率) | 3.28% | 3.85% | 2.04% |
総資産回転率 | 0.02回 | 0.02回 | 0.02回 |
配当性向 | 35.3% | 40.4% | 38.7% |
配当利回り | 3.00% | 4.06% | 4.32% |
銀行の経営指標は一般企業より複雑です。特にメガバンクはグローバルに事業を展開しています。海外比率によっては、海外金利と国内金利の乖離している現在は利益に大きな差がでてきます。3メガバンクの個別株予想につきましては充分なリサーチの上、続編の記事にしたいと思います。
デジタル通貨の時代が予想しているより早く訪れ、メガバンクはその中核を担うはずだと言う予想の元、個別株予想をご提示したいと思います。株価も高値更新中ですので企業価値の目安となる根拠に迫りたいと思います。
ウォーレン・バフェットが5大商社株を買い、日本株への投資姿勢を見せているけど、バフェットは銀行ビジネスはとても好きだったよね。近年は売ったけど、それでもメガバンクはありだと思っている。なんで売ったかも含めて考察してみたいね。
※個別株予想は、あくまで個人的見解を示したもので、投資を勧誘や推奨するものではありません。
過去の実績や未来の予想は投資成果を保証するものではありません。
売却を勧めるものでもありません。
投資の判断は皆様ご自身の決定にてお願い致します。