ビールをいただこう~ベルギーのエールビール達~ワールドビアワーズで世界の頂点に立ったビールは秀逸だ

世界は広い~酵母も製法も様々~麦の香りにグレープフルーツの爽快さ

シメイ・レッドの紹介編で、やはりベルギーのスクールモン修道院のブラウンエール(上面発酵)を紹介しました。
ほぼラガー(下面発酵)しかお目にかからない日本との違いに多様な世界の広さを感じます。
(参考:ビールをいただこう~トラピストビール「シメイ・レッド」と「一番搾り」を飲み比べてみた)
今回の2本は共にベルギービールでエールビール(上面発酵)です。

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ビエール・ド・ギャルドにセゾン~昔の農家が冬に仕込んで夏に飲むビール~農作業後の一杯は想像しただけで飲みたくなる

これから紹介するKEREL(ケレル)ですが、ワールドビアワーズ2018(world beer awards)でビエールドギャルド・セゾン部門とデザイン部門で世界一というとんでもないビールです。
因みに今年のワールドビアワーズ2022でワールドベストビール受賞10銘柄とワールドベストデザイン受賞8銘柄に日本からエントリーした82銘柄からは選ばれませんでした。
エントリー総数50カ国3200銘柄です。

KEREL BIERE DE GARDE (ケレル ビエールドギャルド)

基本情報とスペック

フェルベーク・バック・デ・コック醸造所
KEREL ケレル
エール(上面発酵) タイプ:ビエールドギャルド
材料:麦芽、糖類、オート麦、コーン、ホップ
330ml Alc.7.0%以上8.0%未満
IBU(苦味)24 SRM(色の濃さ)20

特色

【ビエールドギャルド】
冬に醸造し夏に向けて低温貯蔵するビールでフランス北部の伝統的スタイルです。
【セゾン】
夏の喉の乾きを潤すため仕込むベルギーの伝統的ビールです。
瓶内二次発酵のタイプです。
【フェルベーク・バック・デ・コック醸造所】
フェルベール家が1966年醸造を一旦停止、2015年にデ・コック家へ引き継がれ醸造が復活しました。
【ケレル酵母】
引き継がれたとき瓦礫の下から昔のビールが見つかりその酵母からつくられています。
この酵母は糖を食べる力が強くドライなビールに仕上がります。

飲んだ感想

香りは強くないのですがモルトの香りはしっかりします。とてもいい香りです。
日本のビールに近いスッキリした飲み口ですが、なぜか味わいが違うと感じます。
フルーティーでドライです。
材料でスッキリさせる日本ビールと違い、糖を食べる力が強いケレル酵母だからでしょうか。
ほのかな甘味としっかりした苦味も感じます。
「飲むほどにドライ」というキャッチフレーズはこのビールのほうが似合います。
確かに飲むほどに美味しく感じるビールでした。
KERELは他にもセゾン、IPA、ダークIPAなど様々なタイプが豊富に用意されています。

麦芽50%以上だけどビールじゃなくて発泡酒~理由は原料~ピンクキラー瓶はとても爽やかだった

日本の酒税法では麦芽50%以上がビールを名乗れます。
このピンクキラー瓶はラベルを見ると「発泡酒(麦芽比率50%以上)」となっています。
ですので、発泡酒に分類されるのは麦芽比率以外の理由からということになります。
ラベルには、
原材料:麦芽(小麦を含む)、ピンクグレープ果汁、ライム果汁、酵母、オレンジピール、コリアンダー、ホップ/甘味料(スクラロース)、香料
と記載されています。
酒税法の発泡酒の定義「A麦芽の使用割合が50%未満のもの、B ビールの製造に認められない原料を使用したもの、C 麦芽を使用せず麦を原料の一部としたもの」の中の一つ「ビールの製造に認められない原料を使用したもの」に該当します。
明らかに該当するものは「甘味料(スクラロース)」です。
副原料の使用量が麦芽の重量の5%を超えると発泡酒に分類される規定はありますが、抵触しているかどうかはラベルからはわかりません。
「甘味料(スクラロース)」は副原料ではなく添加物に該当します。
添加物が入ると発泡酒に分類されるかは明記されていません。
しかし、ビールと名の付く商品の原材料を見ると「糖質」は入っていますが「人工甘味料」は入っていません。
ピンクキラーが発泡酒と名乗る理由はこのあたりが理由ではないかと思います。

Pink Killer (ピンクキラー瓶)

基本情報とスペック

Silly醸造所 (シリー醸造所)
Pink Killer (ピンクキラー)
エール(上面発酵) タイプ:フルーツエール
材料:麦芽(小麦を含む)、ピンクグレープ果汁、ライム果汁、酵母、オレンジピール、コリアンダー、ホップ/甘味料(スクラロース)、香料
250ml Alc.5.0%以上6.0%未満
IBU(苦味)NO IBUとあり SRM(色の濃さ)13

特色

シリー醸造所のホワイトビールをベースにフルーツ果汁を使用したビールです。
ラベルの材料欄に麦芽(小麦を含む)とあり、ホワイトビールを使用していることがわかります。
【ホワイトビール】
小麦の麦芽または未発芽の小麦を多く使うビールの総称です。
小麦を使っているため白く濁っていることからホワイトビールと呼ばれるようになりました。

飲んだ感想

ほのかな柑橘の香りがします。
そして爽やかな柑橘の味と苦味もあります。とても爽やかに飲めます。
NO IBUとあるのでビールの苦味ではありません。
甘味料とコリアンダーと香料が材料に入っているので、スパイシーでほのかな甘味を感じます。
しつこい甘みではありません。
250mlと小さなサイズなのは、人工甘味料で甘さを立てているからでしょうか。
そんなに沢山は飲めない感じがします。

人工甘味料について

人工甘味料は本稿で取り上げたスクラロースの他では、アセスルファムKなどがあります。
日本のビールの原材料を見る限り、ビールのカテゴリーでこれら人工甘味料が含まれている商品は発見できませんでした。
ただ、糖質0やプリン体0を謳っている商品には記載があるものがあり、発泡酒に分類されていました。
ノンアルコールビールにも記載されている商品がありました。
副原料と添加物の違いや、いくら以上含まれていなければ記載義務がないなど様々な規則があり結構複雑です。
日本のビールメーカーの商品にも、糖質0やプリン体0を表記している商品の中には人工甘味料を記載している商品がありました。
食品添加物を避けたい方は、よく確認して選ばれたらいいと思います。

※「ビールをいただこう」のシリーズは、日本と海外のビール紹介とボックビール探訪を軸に書いています。
シリーズの最初はビールをいただこう~麦芽とホップと水の歴史を訪ねて世界を巡る~Budvar(ブドバー)を飲むになります。
見ていただけると幸いです。

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